「ソフトテニスはメンタルのスポーツ」
これまでに何度もそう耳にしてきましたし、実際に自分が選手としてコートに立つたびにも、いやというほど痛感してきました。
ソフトテニスにおいて技術だけでなく、メンタルが勝敗を大きく左右するということに異論はないと思います。
でも、果たして「メンタル」ってなんでしょう?
私も含めた多くの不勉強な指導者が、「気合いだ!」とか、「気持ちだ!」とか精神論、根性論に終始していないでしょうか。
今回は、そんなモヤモヤを解消してくれそうな興味深い講習会の話を伺い、お邪魔してきました!
会場は埼玉県にある、さいたま市立浦和南高校。
学校までの道を彩る桜並木に、不思議と気分も軽やかになります。
午前中は教室で座学。
午後はテニスコートで実技。
日夜部活動に励む中高生から、ソフトテニスを上達したい大人たち、そして指導者まで、1日みっちりソフトテニスのお勉強です。
今回講師を務めるのは、アスリートメンタルコーチの阿部亮介さん。
1999年の岩手インターハイで見事地元優勝を果たした黒沢尻北高校のソフトテニス部OB。
ご自身の話によれば、「直前のセンバツで団体メンバーから外れ、4番手として迎えたインターハイでチームが優勝したのは、むしろ挫折に近い経験」とのこと。
それでも日本一になるチームでベンチ入りするだけでも、並外れた実力をお持ちなのは言うまでもありません。
その阿部さんは、メンタルコーチとしてソフトテニス分野に限らず、さまざまなスポーツの部活動や実業団選手などもサポートされているそうです。
アイスブレイクやさまざまなワークを挟みながら、子気味良く講義を進めていく阿部さん。
話の内容はもとより、そのプロフェッショナルなセミナー進行に、参加者もグイグイと引き込まれていきます。
詳しい中身はここでは割愛しますが、正直に言って想像をはるかに超えた充実の内容でした。
試合や練習に臨む際の心構えや考え方にとどまらず、アドラー心理学やペップトークなど話題のスキルや理論などもふんだんに取り入れて、さながらビジネス研修のようです。
セミナーのなかでも触れられていましたが、欧米の企業などではスポーツにおける有効な手法をビジネスに取り入れる動きも盛んだそうです。
確かにスポーツとビジネスにおける共通項は多く、スポーツで勝つのもビジネスというゲームで勝つのも、求められる要素は一緒であることが多いです。
阿部さんの講義を聞いて、私自身も知らなかったことや今までおぼろげにしか捉えていなかったものが「ストン」と腑に落ちてきます。
ソフトテニスにとどまらず、仕事や勉強、子育てなどいろいろなものに活用できそうな有意義な話ばかりでした!
昼休憩を挟んで、午後は教室から外へ出て実技講習。
ちなみにこの浦和南高校ですが、公立学校とは思えないほど設備が充実していて驚きます。
最近も全国大会に出場しているサッカー部は古くからの強豪校だそうで、調べてみると、日本サッカー協会の現会長である田嶋幸三さんや、サッカー解説者としてもおなじみのサッカー元日本代表水沼貴史さんなども浦和南高校のOBです。
先生にお話を伺ったところでは、強豪サッカー部のグラウンド改修に合わせてテニスコートも綺麗に整備してもらったとのことで、市立であるがゆえに県立高校よりも多少の自由がきくそうです。
また地域貢献の一環として、この充実のグラウンドやテニスコート施設を地域の方に解放もしているとのこと。
その熱心な顧問の先生も、コート改修とほぼ同じ時期に赴任されてまだ3年だそうなので、浦和南高校のソフトテニス部もこれからまだまだ強くなりそうです。
お昼を食べ終えてコートに移動すると、誰よりもはやくコートに出て快音を響かせている人がいました。
背中に輝く「JAPAN」の文字。
今回、超豪華ゲストとして講習のモデル役を務めるのは、ソフトテニス元日本代表。
NTT西日本の岩﨑圭選手です!
昨年3月のアジアカップひろしま国際で、惜しまれつつも現役引退。
選手としての第一線は退いたものの、現在もNTT西日本のOBチームで練習は続けているそうです。
過去記事:第22回 アジアカップひろしま国際ソフトテニス大会(観戦編)
たとえ引退しても、元日本代表の輝きは色褪せません。
ズバァーン!!
てか、全然衰えていません。
NTT西日本のOBチームとして全日本実業団に向けて頑張っているらしいので、この先もまだ彼のプレーを見れる機会がありそうです。
一ファンとしても嬉しい限りです。
午後の講習でも、技術論だけでなくメンタルの部分にスポットをあてて、練習前の心構え、気持ちのスイッチの入れ方、緊張とどう向き合うかなど、試合でも練習でも活用できそうなメニューやトレーニング方法が満載。
確かに、どういう練習をするかも大事ですが、同じ練習メニューでもその向き合い方、取り組み方の違いによって、得られる成果は大きく変わってきます。
頭ではわかっていても、いざコートに立つとなんとなく練習に臨んでしまいがちです。
具体的なメソッドを知っているかいないか、普段から意識しているか否かで大きな差が生まれます。
願わくばもっと早く知っておきたかったということばかり。
私も、この先まだまだ長い競技人生に生かしていきたいと思います。
これだけでもお腹いっぱいな講習会ですが、今回はもう御一方。
整体師の安神光恵さん。
選手の体のコンディションを整えるスペシャリストで、なでしこジャパンの選手や数々のトップアスリートたちのトレーナーも務めていらっしゃるスゴ腕整体師さんです。
体の可動域を広げる運動で、怪我を防止しながらスムーズな動きを実現してプレーのパフォーマンスを上げていきます。
安神さんは、講習のあいだもずっと参加者一人ひとりの体の悩みや痛みの相談に答えてくれました。
私も見てもらいたかったですが、あまりの人気ぶりでカウンセリング待ちの列が絶えずに泣く泣く断念。
またの機会を作りたいと思います。
メンタルに焦点をあてた講習会だからなのか、講師陣の素晴らしさも相まって、参加者みんなイキイキ、ハツラツ。
メンタル、スキル、そしてフィジカルのスペシャリストが直接指導してくれる夢のような講習会。
まさに心技体、あらゆる角度からソフトテニスの上達を目指すことができます。
こんな素敵な講習会の仕掛け人は・・・。
横畑佑太さん。
岩手県を拠点にソフトテニスコーディネーターとして、子供たちへの指導やさまざまな講習会を主催しています。
私もfacebook等を通じてその精力的な活動は拝見していましたが、今回やっと直接ご挨拶することができました。
関東開催は今回が初めてだそうですが、今後は地元岩手にとどまらず、きっと全国的に活躍されていくことでしょう。
想像していたよりも物静かな方で意外でしたが、その内に秘めた熱意は多くを語らなくても、ひしひしと伝わってきます。
前例のないことをやったり、新しいことに挑戦しようとすれば壁はつきものです。
それでも横畑さんならその情熱で次々と壁を超えていけると感じます。
ソフトテニス競技を一層盛り上げ、発展させていくためにもこうしたエネルギッシュな若者の存在は不可欠です。
これからも楽しく有意義な機会をどんどん創り出していってください!
ちなみに、今回の講習会は来年4月にもリピート開催が決まっているそうです。
ご興味のある方は、要チェックです!
横畑さん、そして講師陣のみなさん、ありがとうございました!