高校【インターハイ】男子団体 岡崎城西が悲願の初制覇!

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インターハイ男子日程の最終日。
インハイのクライマックスともいうべき団体戦が行われ、1回戦から劇的な試合がつづくなか混戦を抜け出した岡崎城西(愛知県)が初優勝を遂げた。

ここ数年間、常に優勝を争ってきた尽誠学園、高田商業のいずれもいないインハイ団体決勝は、実に2017年の福島インターハイで羽黒と東北が戦った以来(羽黒が優勝)。

高校男子ソフトテニス界の双璧を打ち破り、決勝の舞台に立ったのは岡崎城西と東北。どちらもトップ2校に引け劣らない存在だが、この組み合わせでの決勝戦を事前に予想できた人は少ないだろう。

トーナメント左の山、第1シード尽誠学園と岡崎城西の準決勝はまさに因縁の対決だった。2022年の愛媛インターハイにおいて両校は2回戦で激突。ノーシードの岡崎城西は大会3連覇がかかった絶対王者尽誠学園との大熱戦を演じ、3番勝負でマッチポイントまで握ったものの、尽誠が崖っぷちからの逆転を果たし、3連覇も成し遂げた。

その年の岡崎城西のメンバーで個人戦でも3位入賞した塚本星弥選手は、今大会で団体初優勝の立役者となった1年生塚本光琉の兄。

【2022年愛媛インターハイ男子団体2回戦|尽誠学園 対 岡崎城西】

塚本は個人戦では同じく1年生の山田健太郎とのペアで8強入りしたが、団体では3年生でキャプテンの木崎天満とのペアで出場。準決勝では尽誠の大将ペア亀安・笹川と対戦。

塚本光琉(愛知県/岡崎城西/1年)
木崎天満(愛知県/岡崎城西/3年)
亀安隼亘(香川県/尽誠学園/3年)
笹川慈瑛(香川県/尽誠学園/3年)

塚本・木崎ペアは、個人戦優勝の亀安と2位の笹川のペアを終始圧倒し、G④-0のストレートで勝利。

塚本は見事に兄の仇討ちを果たすとともに、決勝進出に向けて王手をかける貴重な勝利をものにし、ここでも怪物ぶりを見せつける結果となった。

尽誠学園も3番に出場した池部・丸田ペアが石川・鳴海ペアにG④-0で勝利し、勝負の行方は接戦となった1番の山本・増田ペアと長濱・稲葉ペアの対戦に委ねられる。

池部綾(香川県/尽誠学園/3年)
長濱瑠飛(愛知県/岡崎城西/3年)・稲葉大幸(同3年)
山本一輝(香川県/尽誠学園/2年)・増田汰一(同2年)

今大会個人戦2位の山本とペアを組んだのは2年生の増田汰一。

増田は個人では県予選で敗退しインハイ出場が叶わなかったが、6月の四国総体では個人3位に食い込むなど実績を残して団体戦メンバーに抜擢。大一番を託された期待に応えるように一球一球気迫のこもったプレーを見せる。

岡崎城西の3年生ペア長濱・稲葉も一歩も引かず、まさに意地と意地のぶつかり合いとなった戦いはファイナルデュースの大接戦となるが最後は岡崎城西が振り切ってF8-6で勝利し決勝へ駒を進めた。

■男子団体準決勝 結果詳細

尽誠学園 1-② 岡崎城西
山本・増田 3-④(F6-8) 長濱・稲葉
亀安・笹川 0-④ 塚本・木崎
池部・丸田 ④-0 石川・鳴海

もう一方の準決勝では、連覇を目指す高田商業と東北が対戦。

飯降脩(奈良県/高田商業/3年)・西山亮太(同3年)
前田蒼生(奈良県/高田商業/1年)・林田遼太郎(同1年)
水木洸(宮城県/東北/3年)・松田拳弥(同3年)

高田商業、東北ともに前日の個人戦では悔しい結果に終わっているだけに団体での優勝をなんとしても掴み取りたいところ。3面展開で3番に入った高商の1年生ルーキー前田・林田ペアが東北の中嶋・小林ペアとファイナルに突入するなか、1番の飯降・西山が東北のエース水木・松田にG2-④で敗れ先勝される。

あとがない高田商業だが、大将ペアの植田・荻谷が白井・千田に対してG1-3とリードを許す苦しい状況。

植田璃音(奈良県/高田商業/3年)
荻谷侑磨(奈良県/高田商業/2年)
白井颯(宮城県/東北/3年)・千田夏輝(同3年)

最後は白井・千田がハイスクールジャパンカップ決勝の雪辱を果たす勝利をあげ、植田・荻谷をG④-1で仕留め、高田商業は準決勝敗退となった。東北は一昨年に浅見・初鹿、根岸・中尾のダブルエースを擁して準決勝で高田商業を破って決勝進出した姿を彷彿とさせた。

■男子団体準決勝 結果詳細

東北 ②-0 高田商業
水木・松田 ④-2 飯降・西山
白井・千田 ④-1 植田・荻谷
中嶋・小林 3-3(F4-2) 前田・林田

激闘を制した東北と岡崎城西が最終決戦の舞台へ。
岡崎城西が勝てば初優勝、東北が勝てば9年ぶり5回目の優勝となる。

決勝は3面展開で行われ、対戦オーダーは次のとおり。
1番 下村・鳴海 vs 中嶋・小林
2番 塚本・木崎 vs 白井・千田
3番 長濱・稲葉 vs 水木・松田

接戦が予想されたが、1番、3番が互いにG④-0のストレートで相手を圧倒するめまぐるしい展開に。

鳴海優志(愛知県/岡崎城西/3年)
小林晴斗(宮城県/東北/3年)
中嶋颯汰(宮城県/東北/3年)
下村瑛和(愛知県/岡崎城西/2年)

最初に決着したのは3番対戦の水木・松田。高い技術を駆使したダブルフォワードでテンポのはやいテニスで長濱・稲葉に終始ペースを握らせることなく完勝した。

その仕返しと言わんばかりに、水木・松田が勝利を決めた直後に岡崎城西の下村・鳴海が中嶋・小林をG④-0で完封。すかさず対戦成績を五分に戻す。

勝敗の行方は、中央のコートで行われている塚本・木崎と白井・千田の結果に委ねられる。
この時点でゲームカウントは2-2と互角の勝負で、1ポイントごとに会場全体が息を呑むようなインハイ決勝3番勝負の独特な空気に包まれる。
スーパールーキー塚本とキャプテン木崎の岡崎城西か、準決勝で植田・荻谷を倒して勢いに乗るハイジャパ2位の実力ペア白井・千田か。一進一退の攻防が繰り広げられた。

白井が得意のクロスへ思い切りの良いボールを打ち込み続け、G3-2とリードし流れが傾きかけたかと思えば、塚本も負けじと際どいコースを攻め、追いついてファイナルへ。

ファイナルでは塚本・木崎が先行してF6-2まで追い込むも、喰らいつく白井・千田が3ポイント連取でF6-5まで巻き返す。

このままファイナルデュースかと思われたが、最後は木崎が白井のクロスボールをしっかり抑えて歓喜の瞬間へ。
紙一重の勝負だったが、最後は岡崎城西に軍配が上がった。

■男子団体決勝 結果詳細

岡崎城西 ②-1 東北
下村・鳴海 ④-0 中嶋・小林
塚本・木崎 ④-3(F7-5) 白井・千田
長濱・稲葉 0-④ 水木・松田

▼木崎天満キャプテンのコメント

「ただただ嬉しいです。やってやりました。厳しい場面でも練習してきたことが出せました。1年生から3年生まで上下関係なく本当に仲がいいチームなのでチームワークの勝利です。(1年生の塚本とはペアを組んでまだ短いが)誰とペアを組んでも戦える最高のチームです。最後も難しい試合だったが、塚本とずっと『日本一獲ろう』って話をして戦いました。国スポも勝って二冠できるように頑張ります」

▼牧知秀監督のコメント

(準決勝尽誠学園戦・決勝東北戦を振り返って)

「インハイ優勝を目標にずっとやってきたのですが、ここ何年かあと一歩をなかなか勝ちきれなかったこともあって今本当に嬉しいです。過去に何回もリードしていながら負けている経験もあり、追い上げられているときの勝ち切る難しさがよぎったが、子供達にはそれは関係ないので、追いつかれてもしっかりと次にやることを決めていった。普段の練習からずっとそういう場面を想定して事前に準備してきた結果が実を結んでくれて嬉しいです」

(団体オーダーについて)

「1回戦から決勝まで勝ち切るためのペアリングを決めるのに、前日一人一人とミーティングしました。昨夜はずっと1時間おきに目が覚めてしまって眠れなかったのですが朝方になってやっと決められた。(山田)健太郎には申し訳ないが最後は3年生のこれまでやってきた努力を信じてオーダーを決めた。
塚本は中学生のときからの実績をみても高校の枠におさまらない選手。そういう子が城西にきてくれたのでこの子達を3年間で日本一獲らせてあげられなかったら監督失格くらいのプレッシャーを感じながら預かりました」

個人戦で塚本と組んで5位入賞した1年生の山田を選手変更で入れ替えて臨んだ団体戦だったが、オーダーが功を奏した結果となった。

(国スポについて)

「東海予選では4県で1枠を争うので三重もあり、岐阜、静岡も強くて厳しいが、そこを抜ければもう一度日本一になれるチャンス。ここで一度勝てたのをきっかけに選手たちの自信にもなるので、もう一度優勝を狙って準備していきたいと思います」

「尽誠学園の塩田先生、高田商業の紙森先生、上宮の小牧先生、和歌山北の渡海先生は、私にとって全員先輩であり恩師。ずっと期待してくれて練習試合やミーティングを通じてテニスのいろはを教えてもらっていて、そうやって期待をかけてもらった子達が日本一になることができてやっと恩返しすることができました。選手以外の保護者の方々も含めた全員で一丸となって掴み取った日本一です」

牧監督によれば「愛媛インターハイの尽誠学園戦を見た子達がその夏休みに岡崎城西に練習にきてくれて、『城西で頑張って日本一になりたい』と他の強豪校もあるなかでうちを選んでくれた。それが今の3年生たち」とのこと。キャプテンの木崎選手も「まだ日本一になったことがないって聞いたので、自分たちで日本一獲ってやろうと思って岡崎城西にきた」と話す。

愛知県はジュニアが盛んで、これまで小学生、中学生のカテゴリーでは日本一を獲得している選手も多いが、高校では県外の強豪校へ進学するケースが多かった。岡崎城西が新たな歴史を築いたことで、今後の高校男子の勢力図が変わるきっかけになるかもしれない。

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