私の出身地でもある東京都北区。
その北区と、友好都市間交流事業として群馬県甘楽町でジュニアソフトテニス教室が毎年開催されています。
「よろしければ覗きにきませんか?」という嬉しいお誘いをいただき、何ヶ月も前から楽しみにしていました。
朝からあいにくの雨予報に、なんとか天気がもってくれればと祈るような気持ちで関越道を北上します。
途中、断続的な雨に降られはしたものの、現地に着く頃にはかろうじて雨も収まり、ほっと胸をなでおろしました。
北区と甘楽町のスポーツ交流事業自体は、以前よりさまざまな競技で行われているそうですが、このジュニアソフトテニスアカデミーは今年で10回目を数えます。
講師を務めるのは、この方。
言わずと知れたソフトテニス界のレジェンド、髙川経生さんです!!
日本代表としても長年に渡りご活躍され、日本のソフトテニス界を牽引してきた髙川さん。
前人未到の全日本選手権(天皇杯)優勝9回は、いまだ破られることのない金字塔。
現在はヨネックス男子監督を務めていらっしゃいます。
髙川さんは東京都北区の出身で、毎年このイベントに参加されています。
まさに、北区が世界に誇るソフトテニス界のスーパースター。
そして今回講師を務めるもう一人のスーパースター。
こちらも天皇杯優勝2回を誇る浅川陽介さん。
ソフトテニス元世界ランキング1位など、国内外で数々の輝かしい実績を残しています。
この甘楽町のジュニアソフトテニス教室の歴代講師には篠原秀典さん(現日体大監督)、松口友也さん(現ヨネックス女子監督)、上原絵里さん(ナガセケンコー)など、そうそうたる顔ぶれが名を連ねています。
そんな超がつく豪華な講師を招いてのソフトテニス教室。
主催の北区ソフトテニス連盟からも、多くの方々が講習のお手伝いをされています。
参加している子供たちは甘楽町のジュニアだけに限らず、群馬県内から多くのクラブが集まっています。
その誰もが元気よく声出ししたり、率先して球拾いに走ったり、見ていて気持ちのよい子供たちばかり。
技術面もしっかりしていて、上手な子が多い印象を受けます。
低学年の子たちも、ボール投げやキャッチボールから丁寧に指導を受けつつ元気に練習。
今回の参加者のなかでも多数を占めている「甘楽ジュニアソフトテニスクラブ」には現在65名が在籍しており、群馬県のジュニアクラブでも最大だそうです。
今年は初めて卒業生からも群馬県選抜選手を輩出しており、これからますます強くなりそうな様子。
強いジュニアクラブは共通して練習に活気があるものですが、こうした状況も一朝一夕にできるものではありません。
長年に渡る地道な努力が実を結び、少しずつレベルアップしてきたそうです。
そこには、この講習会も大きな役割を果たしているに違いありません。
少子化の時代にあって、これだけの子供たちがソフトテニスを初めてくれている光景には嬉しくなります。
子供たちのサポートをするコーチ陣、保護者の方々には頭が下がるばかりです。
そんな元気な子供たちを優しい眼差しで見守るのが、北区ソフトテニス連盟の髙川庚三会長。
レジェンドの父にして、この交流事業を長年支え続けてきた、まさに「ソフトテニス界のお父さん」。
さらにもうお一方。
レジェンドの父あれば、レジェンドの母あり。
髙川会長の奥様、恵美子さん。
東京都レディースソフトテニス連盟会長であり、東京都ソフトテニス連盟、日本レディースソフトテニス連盟でも要職を務めていらっしゃいます。
まさにこちらは「ソフトテニス界のお母さん」です。
一体、どうやったら経生さんのような桁外れの選手が生まれるものかと不思議に思っていましたが、お二人のお話を伺いながら、その背景を垣間見た気がします。
このお二人の存在あってのレジェンドです。
まったくもって余談ですが(というか、どさくさに紛れてプチ自慢?)、私も20代の頃に一度だけ県の予選を勝ち抜き全日本社会人選手権に出場したことがあります。
もう15年以上前のことですが、そのたった一度だけ出場した全日本社会人の決勝戦が、中堀・髙川ペア対浅川・小峯ペアでした。
当時はYouTubeのように便利なものはありません。
いつもソフトテニスマガジンの誌面上でのみ見ていた髙川選手、浅川選手の試合を、初めて生で見たのもそのときでした。
そんな雲の上のお二人と、時を経てこうして同じコートに立っている不思議さ。
長くソフトテニスを続けると、思いがけないご縁があるものです。
そんな、とても贅沢なソフトテニス教室。
ここから全国の舞台に羽ばたく子たちがきっと出てくるはず。
楽しみがまた一つ増えました。
会場の総合運動公園テニスコートの周りを少し歩いてみると、豊かな緑に囲まれていて心が洗われるようです。
地方出身の人が都会に憧れを抱く気持ちは分からないでもないですが、東京育ちの私からすると羨ましい限りです。
きっとないものねだりなのでしょうが、こんな環境で子供を育てることができたら、さぞかし素直な子に育ってくれそうな気がします。
練習を終え、宿に戻って一休み。
夕食は北区と甘楽町の方々と、親睦を深めるバーベキュー。
私の貧弱なボキャブラリーでは、どう表現していいか分かりませんが、とにかく「最高」です。
今風に言うと、「マジ、ヤバい」です(笑)
甘楽ジュニアのメンバーたちからも、それぞれ今後の目標や夢を聞かせてもらいました。
そして、良い子は「早寝・早起き」ということで、バーベキュー終了後は大人の時間。
北区連盟のみなさんのご厚意に甘えつつ、遠慮なく飲み散らかしました(笑)
ソフトテニスを通じて広がる人の輪。
お酒の席となれば、世代の垣根も、テニスが上手いも下手も関係ありません。
レジェンド誕生秘話やら、連盟のみなさまの楽しいお話を肴に、おおいに楽しませていただきました。
翌日は、甘楽町立体育館に場所を移して実施。
この日、もう一人のゲスト講師としてお迎えした三浦洋美(旧姓:濱中)さんも、2001年の皇后杯チャンピオン。
講師陣の実績が凄すぎて、感覚が麻痺してきます。
浅川さん主導で柔軟運動からスタート。
トップ選手による講習会になればなるほど、こうした柔軟やストレッチ、ウォームアップといった部分に多くの時間を割いているように思います。
私のような凡人からすると、ついスーパープレーの実演を期待してしまいますが、ラケットでボールを打つだけがソフトテニスではありません。
ソフトテニスに限らず、スポーツ全般に共通する体幹やバランス感覚、体の使い方。
そうした基本動作こそがもっとも大事であることを、超一流講師は教えてくれます。
それでも単なる基礎だけで終わらないのが、さすがはプロフェッショナルの浅川さん。
ゲーム要素を取り入れながら、子供たちを飽きさせない工夫が随所に。
子供たちの生き生きとした笑顔を絶やさず、自然とその能力を引き出していきます。
こんな素敵な講習会なら、ぜひともウチの子たちにも受けさせたいと思いながら眺めていました。
今はまだ邪魔にしかならない保育園児ですが、お兄ちゃん、お姉ちゃんたちに混ざって参加できる日が来るのが楽しみです。
目の前で繰り出されるスーパースターのプレーを目に焼き付けて、まっすぐに成長してくれるであろう未来のスターたち。
単にジュニア選手の育成、強化という意味合いだけでなく、ソフトテニスという共通項で大人から子供までが一緒になって楽しめる。
こうした交流ができるのもスポーツの持つ素晴らしさです。
こうした取り組みは、ここ甘楽町に限らず全国で行われているかと思いますが、そのすべては関係者の方々の熱意、ご厚意、ご協力があってこそ続いているものです。
北区連盟、甘楽町のみなさま、ありがとうございました!
また次にお会いできるのを楽しみにしています。