シングルス、ミックスダブルスの各個人戦を通じた熱戦の興奮も冷めやらぬまま、大会は4日目へ突入。
いよいよメインイベントともいえる国別対抗の団体戦です。
この日の朝の地元紙では、前日のミックスダブルスにおける台湾ペアの金メダルが大々的に報じられていました。
日本でも高橋乃綾選手のシングルス金メダルが新聞各紙で報じられているのをSNSを通じて目にしました。
とはいえ、選手の出身県の地方紙などが中心で、全国紙やテレビの全国放送などではいまだ滅多にお目にかかれません。
開催種目のなかでもっとも注目が集まる国別対抗団体戦で男女アベック金を獲得すれば、日本のメディアによるソフトテニスの取り扱いもより大きくなるかもしれない。
そう思えば、自然と応援にも力が入ります。
国別対抗の団体戦は、予選リーグと決勝トーナメントの2日間に渡って開催されます。
男子チームは、インドネシア、カンボジア、インドと同組。
女子はインドネシアとパキスタンとの3カ国によるリーグ戦です。
いずれのブロックも2位までが予選を通過し、最終日の決勝トーナメントに進みます。
出場各国が威信をかけて戦う団体戦は、どの試合も白熱必死です。
男子の初戦の相手は難敵インドネシア。
今回の開催ホスト国でもあり、シングルスでは男子が銀と銅、女子も銅メダルを獲得しています。
決して侮れません。
トップバッターは丸中大明・長江光一ペア。
インドネシアのペアも日本相手に食い下がり、簡単にポイントを取らせてはくれないですが、気合いの乗った丸中・長江ペアの貫禄勝ち。
続く2番は注目の一戦。
日本の若きエース船水颯人選手の対戦相手は、2016年のアジア選手権につづき今大会でもシングルスで決勝進出を果たしているエルバート・スィー選手。
硬式打ちの両手バックも、私のなかではすっかりお馴染みになりました。
粘り強いテニスが持ち味のエルバート選手に対して、ここでは船水選手が終始攻めのテニスで相手に仕事をさせません。
ゲームカウント④-1で船水颯人選手が勝利。
続く3番の増山健人・上松俊貴ペアも確実に勝利を収め、ストレートで日本の勝利。
チームとしても幸先のよいスタートを切ります。
予選リーグ第2戦はカンボジアとの対戦。
カンボジア代表といえば、日本のソフトテニスファンにもお馴染みの萩原雅斗さんがヘッドコーチを務めるチームです。
今回、大会期間中に萩原さんともいろいろお話をさせていただきましたが、単身カンボジアに渡って何もないところから同国でのソフトテニス競技普及に携わってきたこれまでの大変さは、察するに余りあります。
根っから明るく爽やかな人柄の萩原さんなので、そんな苦労は微塵も表に出しません。
私も過去インドに3年ほど単身赴任していた経験があるのですが、言葉も文化も慣れない海外生活。
それも途上国で思い通りにいかないことも多いなか、ゼロから地盤を築いていく難しさを少しは理解しているつもりです。
彼とカンボジアチームのメンバーがどれだけの苦労を積み重ねてここまで辿り着いたかを考えると、つい感情移入してしまい心が震えます。
自らが育てあげた代表チームを率いて、国際大会の檜舞台で日本代表と戦う。
彼の夢が一つ実現する瞬間に立ち会えたことを光栄に思います。
結果は日本の3勝でしたが、大健闘のカンボジアチームに心からの賞賛を送りたいと思います。
予選リーグ最終戦のインド戦も、終始危なげない戦いで勝利。
無事に予選リーグ全勝で、翌日の決勝トーナメントに進みます。
一方の日本女子チーム。
個人戦では出番がなかったため、待ってましたとばかりにコート上で暴れまわる半谷美咲選手と、そのペアでシングルス金の高橋選手。
シングルスではメダルまであと一歩、ベスト8の尾上胡桃選手も団体でのメダル獲得に気合い十分です。
そして、今回チーム最年少でもあり予選会1位で堂々の代表入りを果たした林田リコ選手と、キャプテンとしてチームを引っ張る黑木瑠璃華選手。
シングルスで金、ミックスで銅メダルを獲得した日本女子チームのその実力は折り紙付き。
インドネシア、パキスタンに圧勝し、こちらも決勝トーナメントへ。
そして、大会はいよいよクライマックス。
最終日の国別対抗、決勝トーナメントです。
日本は男女とも順当に行けば、トーナメント初戦となる準決勝で台湾と対戦。
勝てば決勝で韓国との対決となります。
朝のウォームアップでは、日本から応援に来ているNTT西日本の選手たちも一緒に汗を流していました。
今回は長江光一選手、丸中大明選手の2名を代表に送り出しているNo.1実業団チームが日本代表を盛り立てます。
女子チームのシングルス戦に出場する尾上胡桃選手のヒッティングパートナーを、そのNTT西日本の村上雄人選手が務めます。
現役天皇杯チャンプがサポートとは、なんと豪華な!
まさにオールジャパンで、男女アベック金を狙います。
一方、王者の貫禄か、不気味な落ち着きを見せる韓国代表チーム。
男女ともに必ずや決勝進出を果たして、日韓頂上決戦を見たいものです。
その注目の準決勝。
第1対戦の相手には、ミックスダブルスでも金メダルを獲得している余凱文(ユー・カイウェン)選手が登場です。
迎え撃つのは、増田健人・上松俊貴ペア。
攻撃的ダブルフォワードに対して、臨機応変に平行陣、雁行陣を織り交ぜながら相手の得意な形を封じていきます。
2人のズバ抜けた技術力の高さと、息のあったプレーで先行します。
国際大会におけるダブルスは9ゲームマッチ(5ゲーム先取)で争われますが、増田・上松ペアが立て続けに3ゲームを取り、4ゲーム目で台湾ペアはたまらずタイムをとります。
嫌な流れを変えたい台湾チームでしたが、それでも日本の勢いは止められません。
結果、台湾のエースペアを相手に増田・上松ペアがストレートで完勝。
チームに勢いをつけます。
続く2番も、難敵登場。
シングルスの予選リーグで長江光一選手をあと一歩まで追い詰めた陳郁勲選手です。
個人戦で日本選手に負けているぶん、この試合でも序盤から思い切りよく向かってきます。
しかし、船水颯人選手も悲願のメダル獲得に向けて気合い十分。
相手のプレーも見事でしたが、それを凌駕する日本のエースがファイナルの接戦をものにします。
強豪台湾代表を0に抑え、堂々の決勝進出です。
一方、観客席を挟んで背中合わせのコートで同時進行していた女子の準決勝、こちらも台湾戦。
トップに出た林田・黑木ペアが、強気のテニスで終始相手を圧倒。
決勝進出に王手をかけます。
続く2番のシングルス対戦は、台湾女子のエースで今大会もシングルス銀メダル、ミックスダブルス金メダルを獲得している鄭竹玲(チェン・チューリン)選手。
対するは日本の尾上胡桃選手。
シングルスの準々決勝では鄭選手に0で敗れた尾上選手でしたが、この団体戦でその雪辱を晴らします。
これで、男女揃っての決勝進出です。
アジア大会でのアベック金がいよいよ現実味を帯びてきました。
ここまできたら、もうその歴史的瞬間をこの目で見なければ日本には帰れません。
アジアの頂点を決める最高の舞台、国別対抗決勝戦での日韓対決。
いよいよ始まります。
頑張れ、ニッポン!!
2018アジア競技大会ソフトテニス競技 注目動画
男子国別対抗/準決勝(第1対戦)
林 韋傑/余 凱文(TPE)対 増田 健人/上松 俊貴(JPN)
女子国別対抗/準決勝(第2対戦)
鄭 竹玲(TPE)対 尾上 胡桃(JPN)
SOFT TENNIS Navi
https://www.youtube.com/c/SOFTTENNISNavi
過去記事:第18回アジア競技大会(ミックスダブルス編)
過去記事:第18回アジア競技大会(シングルス編)